糸鋸の魔術師
- 作;ナルカリ
- 糸鋸の魔術師あらすじ
- 彼が切り抜いた木の動物たちは魂を吹き込まれ、やがて希望の失われた街に、新たな勇気を与えてくれた。小さな木片に何ができるの?彼にできることは糸鋸、彼は糸鋸で1000匹の動物を一気に切り抜いたのであった。そして1000匹の動物たちはやがて大きな力となり、新しい街と夢を人々に与えてくれたのであった。
- 空の上に何かが飛んでいる。
- 轟音が空から聞こえた。10才の少年アルダーは空を見上げた。その轟音の主と思われる物体は街の中心地にそびえ立つ平和センタービルに突っ込んで行った。
- 一瞬のできごと。ドバーンと激しい音が聞こえた途端、アルダーの目の前の風景が真っ白になった。
- 「お父さん、お腹が空いたよ」アルダーはか細い声で言った。
- 「我慢しろ、今日は食べるものが手に入らなかったんだ」アルダーのお父さんは少し強く言い聞かせるように言った。
- 「外に遊びに行ってくるね」
- 「メープルも連れて行ってやれ」お父さんは部屋の端に座って二人の様子を黙って見ていたメープルに目をやった。
- 「いいよ、メープル行くぞ!」アルダーそう言うとメープルはすぐに立ち上がり、アルダーの後に続いた。
- 「ありがとう。アルダー」お父さんは言った。
- 「メープル。動物園に行こうぜ!!確か象とキリンが生き残ってたはずだ」
- 「うん、行く!!」
- 半分、廃虚と化した動物園、ミサイルが落ちるまでは、たくさんの動物がいた有名な動物園。パンダもいたよ、レオポンも、、、。
- 「ほらキリンだ!!」
- 二人はキリンのいる場所までやってきた。
- 「でっけえ!」
- キリンの横には飼育係のお兄さんがいた。黙ってキリンの顔を見上げてた。
- 「キリンさん可愛い」
- メープルが言ったそのときだった。キリンはドシンと一気に崩れ落ちた。
- 飼育係のお兄さんは、倒れたキリンに寄り掛かり涙を流した。キリンは死んだ、、、。
- 二人は言葉が出なかった。二人は象のいる場所に走った。しかし、数日前にはそこにいたはずの象の姿は無かった。
- 「象さんも死んだの?」メープルはアルダーの顔を見て言った。
- 「ああ、たぶん、、、」
- 「みんな、いなくなっちゃったね、、、、」
- 「、、、」
- 「お母さんは?」
- 「、、、」
- アルダーはスプルスの手を掴んで走り出した。アルダーの目からは涙がこぼれていた。バカヤロー!!って心の中で叫びました。
- がれきの中を走りながら、あのときのことを思い出した。あのミサイルが落ちた後のこと。
- お母さんはがれきの下からこう言ったよ。
- 「アルダー、、、。スプルスを守ってね。お父さんの手伝いをするんだよ」
- 動物園から帰ってから、アルダーもスプルスもただ黙って壁にもたれかかっていた。
- 「どうしたんだおまえたち」お父さんが二人を見て言った。
- 「なんにもない、、、」
- 「そうか、、、」
- その晩アルダーは泣きながら寝た。
- アルダーは変な夢を見た。がれきの街の向こうから、奇妙な服を着た男が大きな鷲に掴まってこの街にやってきてる夢。その男の鷲の後ろにも、もう一羽の鷲がいる。その鷲は何か機械を掴んで飛んでるよ、なんの機械、、、。
- 緑色した重たそうな機械?前に学校で見たことがあるような、、、。
- 奇妙な服を着た男と緑色の機械。アルダーは不思議な気持ちで夢見てたよ、でも何か変化を感じる予感。
- 変な夢、夢、夢、、、。
- 次の朝、アルダーとメープルは朝から街を歩いた。がれきの中から何かおもしろいものを見つけるためだ。
アルダーとスプルスが歩いていると、一人の男が声をかけた。
- 「君たちどこへいくの?少し見ていかないか?」
- 「何をですか、、、?」
- スプルスは急に声をかけられて少し驚いたが、その男が悪い人間ではないことはすぐにわかった。
- 「そしたらもう少しこっちへ来て御覧」
- その男の脇に置いてある機械、アルダーは昨日の夢を思い出した。
- 男はその機械の前に座り、足下のあった木切れを手にした。
- 「これはミサイルに破壊されたお家に使われていた木材の破片」
- 男はその破片を二人に見やすいように手に持った。
- 「さてさて、ここには電気がきていないから、電気をつくらなきゃいけないね、そこの自転車をこいではくれないかい」
- 機械の脇においてある自転車にアルダーはのっかった。
- その自転車は発電機になっているようで、自転車と機械は線で繋がれていた。
- 「この機械は電動糸鋸という機械なんだ。君が自転車をこげば、この機械に電気が送られて動かすことができるんだ。がんばって電気を起しておくれ」